公益財団法人日仏会館の自然科学系の8つの傘下学会は、毎年12月に『日仏科学シンポジウム』を開催しております。本会も8学会のなかのひとつで、今年のテーマは以下のとおりです。
なお、座長には本会会員、『日仏工業技術』副編集長の池上敬一氏が担当されます。
皆様のご参加をお待ち申し上げます。
宇 宙
「Univers」
ガリレオが望遠鏡を作り天体へ向けて観測を行ない、宇宙の扉を開いてから、凡そ400年が経ちました。数多くの学者が宇宙の謎解きに挑戦し、今年度のノーベル物理学賞は宇宙の膨張の謎を解く暗黒エネルギーの発見です。現在の宇宙科学は、多くの謎を解き明かしつつ、人類史上最大の冒険である月の地に人類を送り出し、更なる未知への探究心を駆り立てている。この度の科学シンポジウムでは、宇宙の未来を語って頂き、また、宇宙に向かう飛行士の健康管理はどのように行なわれているか、そして、奇跡と言われた小惑星探査機「はやぶさ」の生還とここから広がる宇宙へのロマンについて3名の講師の方にご講演頂く。
日 時:2011年12月10日(土)13 :00~18 :00
会 場:日仏会館ホール(JR恵比寿駅よりガーデンプレイス方面徒歩10分)
入場無料
13 :00-13 :10 挨拶 池田 忠生(日仏会館学術委員)
13 :10-14 :40
「ダークエネルギーの謎(Mystère du l’énergie sombre )」(仮題)
唐牛 宏(東京大学数物連携宇宙研究機構特任教授・フランス国家博士)
14 :55-16 :15
「宇宙飛行士の健康管理(Health care of astronauts)」
宮本 晃(日本大学大学院教授、JAXA宇宙飛行士審査委員会医学審査専門委員会委員)
16 :30-18 :00
「はやぶさミッション、その7年の飛行(The HAYABUSA misson – Its seven years flight)」
川口 淳一郎(独立行政法人宇宙航空研究開発機構 シニア・フェロー、
宇宙科学研究所宇宙航行システム研究系研究主幹教授)
18 :00-19 :00 < 懇 談 Buffet amical >
主催:公益財団法人日仏会館
日仏医学会、日仏海洋学会、日仏工業技術会、日仏生物学会、日仏獣医学会、日仏農学会、日仏薬学会、日仏理工科会
問合せ:公益財団法人日仏会館
東京都渋谷区恵比寿3-9-25
TEL 03-5424-1141 FAX 03-5424-1200
E-mail bjmfj@mfjtokyo.or.jp
URL http://mfjtokyo.or.jp
プロフィールとレジュメ
唐牛 宏(かろうじひろし)(東京大学数物連携宇宙研究機構特任教授・フランス国家博士)
東京大学大学院修士課程終了後、渡仏(1971-1989年在仏)。1979-1989年パリ第6(ピエール・マリーキュリー)大学専任講師および助教授、1989-2010年国立天文台助教授および教授、国立天文台ですばる望遠鏡建設に携わる、2002-2006年国立天文台ハワイ観測所長などを経て、2010年より現職。
日本が誇る口径8.2mの巨大望遠鏡「すばる」は、ハワイの山の上で活躍しています。この「すばる」の他に世界にはなんと10台以上もの兄弟分があり、お互い成果を競い合ったり、時には協力しあって宇宙の謎に挑んでいます。この度、宇宙の4分の3を占め、未来を支配すると云われるダークエネルギーの解明に、「すばる」はどう挑むのか、兄弟分はどうするのか、話す予定です。
宮本 晃(日本大学大学院教授、JAXA宇宙飛行士審査委員会医学審査専門委員会委員)
(医学博士) 上智大学理工学部電気電子工学科卒、日本大学医学部卒、米国 New York 州立大学 Stony Brook 校医学部、心血管外科のリサーチフェロー修了、米国 Ohio 州、Wright 州立大学医学部大学院修士課程修了 航空宇宙医学のレジデント修了、宇宙飛行士審査委員会、医学審査専門委員会委員
国際宇宙ステーションに滞在する宇宙飛行士は、地球上とは異なる特殊な環境下で生活している。彼らは地球からは約400Km離れ、閉鎖・隔離されており、無重量状態のため彼らの身体に、生理学的な変化が生じる。このために、専門の医師による、宇宙飛行士の健康管理が不可欠となる。フライト・サージャンの役割は、医学的選抜、健康維持、宇宙飛行中の地上からの支援、そして帰還直後における健康チェックと、リハビリテーションの実施である。しかしながら、宇宙環境ではまだ解明されていない点が多いので、宇宙医学の研究が続けられている。
川口 淳一郎(独立行政法人宇宙航空研究開発機構シニア・フェロー、 宇宙科学研究所宇宙航行システム研究系研究主幹教授)
(工学博士)宇宙工学者。京都大学工学部卒業後、東京大学大学院工学系研究科航空学専攻博士課程を修了し、旧文部省宇宙科学研究所に助手として着任、2000年に教授に就任。2007年4月から2011年9月まで、月惑星探査プログラムグループ プログラムディレクタ (JSPEC/JAXA)、1996年から2011年9月まで、「はやぶさ」プロジェクトマネージャを務める。現在、独立行政法人宇宙航空研究開発機構宇宙科学研究所(ISAS/JAXA)宇宙航行システム研究系教授・研究主幹、2011年8月より、シニア・フェローを務める。ハレー彗星探査機「さきがけ」、工学実験衛星「ひてん」、火星探査機「のぞみ」などのミッションに携わり、小惑星探査機「はやぶさ」では、プロジェクトマネージャを務めている。
「はやぶさ」が挑んだ人類初の往復の宇宙飛行、その7年間の歩み
はやぶさが実証した地球引力圏外の天体へ着陸し,往復して帰還した宇宙飛行は,人類未到の挑戦でした。「はやぶさ」は,昨年6月13日,その宇宙飛行を終え,オーストラリアのウーメラ砂漠地帯に帰還し,試料回収カプセルを無事降下・回収することに成功しました.
はやぶさは,その飛行中,数々の故障や困難に直面しましたが,プロジェクトのメンバ全員がよくそのミッション目的を共有し,そして高いモーティベーションをもって率先してとり組み,このことが地球帰還の成功へとつながりました。
この講演では,打ち上げから帰還までの7年間の飛行運用をふりかえり,いろいろな局面で得られた苦心や教訓を紹介し,成果を次世代へつなげる方法,新たな構想を立ち上げるのに必要なとりくみ方などについて述べたいと思います。