フランスにおける道路プロジェクトに関する合意形成
一般的な事例:モンペリエ地域圏の場合
L'etude et la communication
de projets routiers:
le cas du departement de l'Herault La simulation interactive en
realite virtuelle appliquee
ピエール・コプフ Article de Pierre KOPFF
マリオ・シャルド Mario CHARDES
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Lユobjet
de lユarticle est de d残rire un exemple en France des moyens de
concertation sur les projets routiers locaux. Le cas choisi est
celui du d姿artement de lユH屍ault. Lユexpos montrera lユutilisation
dユun nouvel outil dユ師ude et de communication qui est la simulation
interactive en r斬lit virtuelle. Le contexte local sera d残rit
de m仁e que les conditions dユ士ergence et dユapplication de la
r斬lit virtuelle au secteur routier.
本論の目的
本論の目的は、フランスの地方における道路建設事業をめぐる、地域住民と行政との主要対立点を超えた合意形成の実際について、その一例を大まかに述べることである。
本論ではまた、新しい検討、コミュニケーションツール、すなわちバーチャルリアリティーによるリアルタイムのシミュレーションを使った具体的なケースも紹介する。
今日のフランスにおける実状をグローバルに把握するためには、個々の事例の背景を見ずに、それだけを人工的に抽出しても駄
目だと我々は考える。パートナーシップ(国と地方との契約など)や総合計画(交通
輸送 + 市街地道路計画や都市移動計画における都市計画 など)というふたつの必然的要素を考慮すると、地域全体を事例として考えざるを得ない。
地域として選んだのは南仏エロ県である。リアルタイムVRシミュレーションを活用した事例がこの地域だけでも6例あり、かつ実施中の事業の多様さと複合性がフランスの地方プロジェクトの実状をよく示しているからである。さらに、都市計画を担当する省庁や都市計画マスタープラン(SDAU)がないことも、今日の日本における一般
的実状と思われるものとよく似ているからである。
全ての事例を網羅的に見てゆくのは物理的に不可能であり、今回は特にモンペリエ市北部のバイパス道路事業の推移という点にしぼって見てみたい。ここでは基本的に同県が実施する事業が問題となるが、同県は道路建設計画へのリアルタイムVRシミュレーションの活用という点でもフランスにおける先駆的な例となった。
筆者は、同県庁、特に県道路施設局、そしてマリオ・シャルド氏率いる同局の設計・道路技術課に感謝しておきたい。同氏がいなければ本論も成り立たなかったであろう。またエロ県設備局と同局都市計画課にも積極的に協力していただいたことを感謝する。
エロ県の地理的素描
エロ県はラングドック=ルシヨン地域圏が擁する5つの県のひとつであり(フランス全体では100県を数える)、同地域圏の中枢を占め、県庁所在地モンペリエもある。本地域圏は特にその観光資源とブドウ畑で知られているが、一方ではモンペリエをはじめとする各都市の活動も盛んである。エロ県の面
積は6224km2、東西方向には130km、南北方向には65kmにわたってひろがっている。
「エロ県は、古くから人々の往来交流の地として、つねに世界に門戸を開いてきました。多種多様な人々がこの地を訪れ、溶けこみ一体化して、独自の風土を生んできました」(i)
ここで見落としてならないのは、同県が抱える市町村(コミュン)の数が343にも上ることである。こうした小さな自治体が無数にあることがフランスの特色でもあるが、これらの市町村は恐らく日本は「地区」程度に相当し、日本でいう市町村はフランスでいう郡(カントン)、すなわち県議会に選出される議員の選出母体となる行政区画に相当する。(エロ県は49郡)
ただし、モンペリエ都市圏は現在再編が進んでおり、1999年7月1日付自治体共同法の施行により現在28万2000人を擁する15市町村地域が2001年1月1日を期して41市町村41万9000人を擁する広域市町村群に改組されることである。これは市町村の合併ではなく、関係地域に共通
する交通機関や道路施設を含めた都市・国土整備開発プロジェクトを共同で進めるための連合体である。ちなみに1999年11月から2000年6月まで、関係市町村、住民集会、市町村議会の会合など、50回以上もの会合が開かれてきた。(ii)
道路建設におけるふたつの推進母体─国と県(県議会)
表1は、道路施設の主要発注者たる二者、すなわち国と県のネットワークと手段をまとめたものである。(iii)
エロ県は1982年に始動した地方分権の一環として1986年に道路課を設け、県組織内に道路課を設置した最初の県となった。
表2は、1994年から1999年までの国と地方圏との計画における最後の契約期間6年間に支出された金額の配分を示したものである。(iv)
このほかにも、市町村道を管理する市町村と、同県を東西に貫く現在の主要な高速道路A9の管理運営者であるフランス南部高速道路公団(ASF)がある。
ただし、再編道路網の事業はこれらの道路には直接的な関係はないので、これ以上の説明は省くことにする。
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