表紙
(図1) 「都市計画・都市及び空間整備教育ガイド」
都市計画系留学先の探し方

「都市計画・都市及び空間整備教育ガイド」

Guide des formations en urbanisme, am始agement de la ville et du territoire
Urbanisme 社刊、1997年、(当時)50フラン




どの様な教育機関で都市計画を学ぶことができるか、という問題はなにも留学生に限ったことではなく、フランス人にとっても同様だ。そこで日本でも知られている都市計画雑誌 Urbanisme を発行する Urbanisme 社は1997年に「都市計画・都市及び空間整備教育ガイド」(図1)を発行した。少々古いが、管見の限りこれが最も網羅的で、かつ唯一のフランスの都市計画教育機関ガイドである。ちなみに当時で50フラン(約1,000円)とかなり学生に良心的値段だった。
さて、では内容はといえば、まず(図2)のように各コース1ページずつを使って、コース名称、教育機関名と連絡先、主任の名前、期間、新規募集制か否か、入学許可条件、総授業時間、各学年での教育内容、卒業後の進路、授業料、定員などが説明してある。また巻末には(図3)のような都市別・大学別の索引や、(図4)のような教育段階別(学士及び修士、それ以上)の索引が付いている。
筆者はまずミーハー精神によりパリ大学を選び、通い安さからソルボンヌの地理学院を選び、授業の少なさから空間整備・都市計画高等専門家養成課程(DESS Am始agement et Urbanisme)を選んだ。むろん、賢明な皆さんはこんな選び方はしないと思いますが・・・

(図2)留学先紹介

(図3)都市別

(図4)段階別

都市計画に限らず、日本人の場合、ヴィザの取得などの問題から誰か留学経験のある人に現地の教官を紹介してもらったが、留学してみて考えていた内容と違ってがっかり、のような人を見かける。だからこの本を紹介します、と言いたいところだが、日本でも往々にして学科紹介などというものは巧言令色に満ち満ちたものであるように、この本の内容は鵜呑みにできない。実際、筆者は上記コースに過大な期待をしてがっかりした。
それとこの手の本で留学先を探す場合、紹介などと異なりフランス人と同等の入試を受けなければならないことが多い。筆者も筆答はともかく面接は怪しげな仏語でしどろもどろで、はっきり言って何故合格したのか未だに判らない。
この様に、自力で留学先を探そうという野望に満ちた人向けの本だが、非常に網羅的な本だから、1冊もっておいても損はないと思う。(鳥海基樹)


上へ