フランスにおける建築家の職能
La profession dユarchitecte
赤堀 忍 Shinobu Akahori
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Le statut
dユarchitecte est 師abli pr残is士ent: son r冤e, ses responsabilit市,
les types dユexercice de la profession. Les pouvoirs publics ont
mis en place une politique de qualit� architecturale pour les
b液iments publics � travers les syst塾es dユacc峻 � la commande
publique des concours et lユaide aux jeunes architectes pour acc重er
� une premi俊e commande. Les relations contractuelles pour les
march市 publics entre les architectes et les BET sont codifi市
par une loi.
建築家の資格
建築教育が日本では工学系に属しているのと違ってフランスではもともとボーザールに属していて、芸術系にある。国立建築大学を出るとDPLG(Dipl冦�
par le Gouvernement)となり、フランスで唯一私立の建築学校であるEcole
Sp残iale dヤArchitecture を出るとDESAをとることができるが、それだけでは実際に建築家として独立して活動できるわけではない。フランスの建築大学は全国でも24校しかない。フランス人は建築大学を出てOrdre
des Architectes(建築家集団)に登録してはじめて建築家としてのタイトルが得られる。その昔は、この組織は建築家の定数があり、会員が退会するか、死去するまで新たな建築家が登録することができないという非常に保護されたものであった。
フランス国籍を持たない外国人は建築家としてのタイトルを得るのにその国とフランスとの関係によって時間が掛かる。日本では10数年前には、誰一人として外国人の一級建築士がいなかったという事情があり、フランスでタイトルを取るのに2年間以上の時間を要していた。最近では外国人がDPLGを取ってからOrdre
des Architectesに登録するのは不可能に近いと聞く。既にヨーロッパ以外で建築家としている活動している外国人でもフランスで活動するためにはOrdreに登録する必要がある。それには政府のコミッションがあり、建築家の経験等によって判断され、Ordreに登録できるかどうかが決まる。今でもEU以外の建築家はそのコミッションを通
る必要がある。EUの建築家であればフランスでの活動には言葉の問題を除けば支障は無い。
フランスで外国人建築家を含めて、Ordreに登録されている建築家の数は現在約27,000名で、事務所の数が15,500ということは小規模の事務所が多いということで、10人以上を雇用している事務所は150に満たない。ちなみに建築を学ぶ学生数は約19,000名である。建築家の数は日本に比べて比較にならないほど少ない。
建築家の役割
建築家の仕事の中で大まかな建築物の分類をみると集合住宅が27%、事務所・商業施設が17%、戸建て住宅が14%、教育施設が12.5%となっている。その他、様々な建築物を扱っている。
工事別をみると新築工事が68.4%で改修工事が31.6%と、日本が壊しては建替えるのと違って改修工事の割合が非常に大きい。
更に、施主別でみると公共が38.3%でプライヴェートが61.7%と少々意外な感があるが、やはりフランスでも公共よりもプライヴェートのほうが多い。
これらの建設行為にに携わる建築家のほかに幾つか特殊な職があるので次に紹介しておくことにする。
フランス歴史的建造物管理建築家
フランス歴史的建造物管理建築家ABF (Architecte
des B液iments de France)はDPLGの後、歴史的建造物の修復・改修の学校を経て、更にABFの元で実務を積み、文化省の管轄のもとに文化財保護を目的として各自治体で活動をしている。
フランスでは床面積10平方メートルを取り壊す場合には解体申請が必要であり、床面
積10平方メートル以上を作り出す場合には建築確認申請が必要となる。これらはアパートの内部や店舗の改装に関しても適応される。確認申請は施主が提出する義務があるが、建築家が代行することが多い。申請が下りるのに通
常2ヶ月を要するが、歴史的建造物がある周辺500メートルの範囲内ではこのABFが書類の審査に加わり、3ヶ月に延びる。店舗のファサード・看板の変更でさえも申請が必要であり、ABFの管理の範疇に入る。彼らは色、素材、デザインについても強制力があるコメントをし、街区を規制している。ABFは歴史的街区を保護する役割を担っており、それによってフランスの街の景観は保たれているといえる。街区によってはそれが全く守られていないところもあり、街を歩いていて明確であり、ABFが仕事を責任持ってやっているのか疑いたくなることさえある。
建物が歴史的建造物に指定されると建物の持ち主でさえ、自分の思うようにならない。例えば、シャンゼリゼ通
りにあり、俳優達や文化人が集まった事で知られるCaf�
Fouquetヤsは現在、所有権が外国人の手に渡ってしまっている。その所有者が以前に改装をしようとしたとき、当時の文化大臣であったジャック・ラングが歴史的建造物の指定をして自由に改装できなくしてしまった。カフェはフランス文化を伝える重要な場所としての文化遺産なのである。
フランスでは歴史的、文化的価値が個人の財産にまで介入してきて、公共の利益が個人の利益より優先するという社会的価値観が深く流れている。
自治体の顧問建築家
フランスには各県に文化省から指名されている顧問建築家(Architecte
Conseil)がいて建築・都市計画全般にわたってアドバイスをする。これはフランスが地方分権になっている現在、地方自治体が中央の意見を聞かずして建築行為をすることができる。それら自治体の独自性が国土の調和を損ねることのない様に、この県の顧問建築家が国との調整役となっている。
彼らの具体的な作業は各自治体で行われる建築設計競技の審査員を務めたり、県内で計画されている都市計画、建築等の指針となって計画に関り、質を向上させていくというのが目的である。
文化省から指名されている顧問建築家は基本的に自らの事務所を持って独立した活動をしている。彼らは自分の担当している県では個人として仕事をすることを許されていない。自治体と個人としての専門的な繋がりが強く、問題を避けるためであり、そのためもあって3・4年毎にポストが変わっている。
鑑定建築家(Architecte
Expert)
フランスでは一般に建物保険が義務づけられている。一般的な共同住宅は上下の隣同士の避けられない問題を抱えているし、戸建ての自然災害に関しては神戸で明らかにされた点である。
保険会社は被保険者からの請求を正当なものであるかを判断しなければならない。保険会社は責任の所在を含めて鑑定する建築家にこの仕事を委託する。保険会社から依頼されてアパート等の水漏れ、火災等の被害による現状復帰を求める被保険者の請求額が適正なものであるかどうかを専門の立場から判断するものである。共同住宅では近隣住人・持ち主・協同組合・当事者等々、非常に混み入った問題を抱えている。あくまで専門の建築家として事態を客観的に判断することが求められている。
裁判所から指名されている鑑定建築家もいる。日本では、この分野はかなり遅れていて最近になってやっと日本建築学会が裁判所に対して協力を始めたようである。この鑑定建築家は自らの独立した事務所を持ち自分で建築を建てていることが条件である。一見、矛盾しているようだが、計画から竣工までの過程を現場に足を踏み入れ、熟知していて、初めて裁判になるような問題に対処できるのであって、書類に向かっていたのでは正しい判断はできない。建築家が他の建築家の仕事を鑑定しなくてはならないという状況にさえなり得るのである。
これらのほかにも共同集合住宅・事務所・商店の入っている各建物には建築家が雇われていて、改修工事や建物の維持監理をしている。建物を作るわけではないが建物の数を考えるとかなりの量
の作業量になるし、古い建物に対するかなりの知識が要求される。
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